チョコレートが高くなった本当の理由
――カカオ不足と円安、それでも私たちがチョコを楽しむには?

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板チョコとココアの写真:チョコレートが高くなった本当の理由

スーパーで板チョコを手に取って、「えっ、こんなに高かったっけ?」と感じたことはありませんか。
ここ数年、チョコレートやココアの値段は、ほかのお菓子と比べても大きく上がっています。
背景には「カカオ不足」と「円安」、そして西アフリカのカカオ農家を取り巻く厳しい現実があります。

この記事では、Xで触れた内容をもう少し丁寧にほどきながら、

  • なぜチョコやココアがここまで値上がりしたのか
  • この高い価格はいつまで続きそうなのか
  • 私たち消費者にできることはあるのか

を順番に見ていきます。


目次

なぜチョコが急に高くなったのか?ざっくり結論

結論から言うと、チョコレートの値上がりは、次の3つの要因が重なった結果です。

  1. カカオ豆の大幅な不作と供給不足
  2. それによる国際価格の高騰(数年で“別次元”の水準へ)
  3. 円安や輸送費・人件費の上昇など、日本特有のコスト増

つまり、

「原料が足りないうえに高くなり、日本円の価値も下がった」

この三つが重なった結果として、私たちが買うチョコレートの値段が一気に上がった、という構図です。

ここから先は、それぞれをもう少し具体的に見ていきます。


カカオ豆の国際価格は、ここ数年で何が起きたのか

コロナ前から2023年ごろまで

コロナ前〜2022年ごろまで、カカオ豆の国際価格(先物相場=将来の取引価格を決める市場)は、1トンあたりおおむね「2,000〜3,000ドル台」で推移していました。多少の上下はあっても、「チョコが急に買えなくなるほど」の変動ではありませんでした。

2023〜2024年:60年ぶりレベルの供給不足

流れが変わったのは、2023/24シーズンです。カカオの主な生産地である西アフリカで、

  • 異常な高温や大雨などの天候不順
  • 病気(カカオの樹を枯らすウイルスなど)
  • 老木化したカカオ樹の多さ

といった問題が一気に表面化し、世界全体の生産量が大きく落ち込みました。

国際ココア機関(ICCO)は、このシーズンの世界のカカオ不足量を「過去60年以上で最大クラス」と分析しています。

2024〜2025年:史上最高値圏から、ようやく下り坂へ

カカオが足りなくなると、当然ながら世界中のメーカーが高値でも取り合うことになります。
2024年には相場が「1トン1万ドル前後」という、コロナ前の3〜4倍近い水準まで跳ね上がりました。

その後、2025年に入ってからは少しずつ落ち着き、今はピークからはだいぶ下がってきています。それでも、依然としてコロナ前よりはかなり高い水準にあります。


カカオはどこで作られている?西アフリカに集中するリスク

世界の約7割が西アフリカ産

チョコレートの原料であるカカオ豆は、赤道近くの高温多湿な地域でしか育ちません。

  • コートジボワール
  • ガーナ
  • ナイジェリア
  • カメルーン
世界のカカオ生産の約7割を占める西アフリカ4か国の位置

などの西アフリカ4カ国だけで、世界のカカオ生産の約2/3〜7割を占めるとされます。

特にコートジボワールとガーナの2カ国は、合わせて世界生産の約4〜5割を担う巨大産地です。

つまり、「世界のチョコレートは、西アフリカに強く依存している」という構図になっています。

気候変動・病気・老木化のトリプルパンチ

その西アフリカが、ここ数年で大きな問題を抱えています。

  • 気候変動の影響
    これまでより暑い日が増え、雨の降り方も極端になっています。
    そのせいで、カカオの花や実がうまく育たないケースが増えています。
  • 病気の蔓延
    「スウェレンシュート病」のようなウイルス性の病気が広がると、樹そのものを伐採しなければならず、収穫量が一気に下がります。
  • 老木化と投資不足
    カカオの樹は年をとるとだんだん収穫量が落ちていきますが、多くの農家は貧しく、新しい苗木を植えたり肥料を増やしたりする投資が十分にできていません。

こうした理由から、西アフリカ全体で「以前のような量を安定して作れない」状態が続いており、今後数年も改善には時間がかかると見られています。


スウェレンシュート病とは?

スウェレンシュート病(カカオ膨梢ウイルス病)は、カカオの木にかかるウイルス性の病気 のことです。
英語では Cacao Swollen Shoot Virus Disease(CSSVD) と呼ばれます。

名前の意味

  • swollen(スウェレン) … ふくらんだ
  • shoot(シュート) … 若い枝・新芽

→ 「枝や幹がふくらんでしまう病気」という意味です。

どんな症状が出る?

株やウイルスのタイプによって少し違いますが、代表的には:

  • 若い葉の葉脈が赤くなったり、黄色い筋が入る
  • 葉っぱがまだら模様になったり、小さくなる
  • 幹や枝、根っこがボコッとふくらむ
  • 実(カカオポッド)が小さく、丸っこく、形がいびつになる
  • 最後は枝先から枯れ進み、木そのものが弱っていく

感染すると1年目で収量が25%減、2年目で50%減とも言われ、数年で木が枯れてしまうことも多い、かなり厄介な病気です。

どうやって広がる?

  • 主な犯人は コナカイガラムシ という小さな虫です。
  • この虫が、ウイルスにかかった木の汁を吸い、別の木に移ることで広がります。

薬で完全に止めるのはむずかしく、感染した木を伐採して焼却する という、かなり痛みを伴う方法で広がりを抑えています。

チョコの値段とどう関係する?

  • この病気はガーナなど西アフリカのカカオ産地で大きな問題になっていて、これまでに2億本以上のカカオの木が失われたとも言われています。
  • 収穫量が減る → 世界的にカカオ豆が不足する → 価格が上がる…という流れの一つの原因になっています。

日本の店頭ではどれくらい値上がりしたのか

板チョコの平均価格は、ここ数年でじわじわ上昇

日本のスーパーなどで売られている板チョコの平均価格を追った調査では、

  • 2022年初め:税抜き100円を下回る水準
  • 2024年末:税抜き145円前後まで上昇

とされています。

別の調査では、50〜55gの板チョコ1枚あたりの平均価格が、

  • 2023年平均:およそ240円台
  • 2024年平均:260円台
  • 2025年はさらに30%近い上昇

といったデータも出ています。

もちろん、商品やメーカーによって差はありますが、「チョコは全体として“少しずつ、でも確実に”高くなっている」という方向性は、数字にも表れています。

円安と“他の原料高”も効いている

帝国データバンクのバレンタインチョコ調査では、

  • カカオ豆の国際価格が大きく上がっていること
  • 砂糖など他の原材料の価格も上昇していること
  • 円安で輸入原料や海外工場からの仕入れコストが増えていること

という「三重苦」によって、2024年のバレンタインチョコは前年より平均4%程度値上がりしたと分析しています。

つまり、チョコの値段は カカオだけの問題ではなく、他の原料や円安も一緒に効いている わけです。


高いチョコはいつまで続く?2025〜26年の見通し

2024〜25年:歴史的な大赤字から、ようやく“やや改善”へ

ICCOの分析では、2023/24シーズンの世界のカカオ供給は、60年ぶりレベルの大幅な「供給不足」(作る量より、世界が欲しがる量の方がずっと多い状態)でした。

一方で、2024/25シーズンは、

  • ほんのわずかですが久しぶりに「供給過剰」になる可能性が出てきており、
  • それが2025年以降の相場の落ち着きにつながるのではないか、と期待されています。

ただし、「供給に少し余裕が出る」といってもごく小さなもので、過去数年の「カカオが足りなかった分」をすぐに埋められるほどではありません。

それでも“コロナ前の安さ”に戻る可能性は低い

国際機関や専門家の見方をまとめると、

  • 2025〜26年にかけては、
    • 2024年のような「異常な高値」からは徐々に下がる
    • ただし、コロナ前の価格帯まで戻る見込みは薄い
  • 西アフリカの生産は、
    • 気候変動や病気、老木化
    • 森林伐採規制やEUの新しいルールへの対応コストなどを考えると、構造的にコストがかさむ状態が続きそう

日本の場合はここに円安も加わるため、

2025〜26年ごろまでは、「今より急に安くなる」というより、「高いまま、じわじわと落ち着いていく」イメージで考えておいた方が現実的といえそうです。


私たちにできること:値上がりとどう付き合う?

① 安く買う工夫をする

  • セールやまとめ買いをうまく使う
  • プライベートブランド(PB)のチョコを試してみる
  • 板チョコを小さく割って、少しずつ楽しむ

など、単純に「量を減らす」のではなく、満足感はキープしたまま頻度や買い方を調整するのも一つの方法です。

② カカオに頼りすぎないおやつも選択肢に

チョコ以外にも、

  • ナッツやドライフルーツ
  • さつまいも・あんこ系のおやつ
  • カカオ分控えめのチョコ菓子

など、「甘いもの欲」を満たしてくれる選択肢はたくさんあります。

「今日はしっかりチョコ」「今日は別のおやつ」とバランスを取ることで、家計への負担も抑えやすくなります。

③ 生産地に配慮したチョコを選んでみる

西アフリカのカカオ農家の多くは、世界的な価格高騰にもかかわらず、十分な対価を得られていないと言われています。

  • フェアトレード
  • 産地や農園名が分かる“ビーントゥバー”チョコ

などをときどき選ぶことは、少しずつでも生産者を支える行動につながります。

毎回そうする必要はありませんが、「ご褒美チョコのときだけ、少し意識してみる」くらいでも立派な一歩です。

まとめ:チョコが高くなった背景を知ると、味わい方も変わる

  • チョコレートの値上がりは、
    • 西アフリカを中心としたカカオの不作
    • それによる国際価格の急騰
    • 円安や他の原料・コスト高
      が重なった結果です。
  • カカオ相場はピークより下がってきているものの、コロナ前よりかなり高い水準で、日本では2025〜26年にかけてもしばらく「高め」の状態が続くと見られています。
  • それでも、買い方を工夫したり、ときには生産地に配慮したチョコを選んだりすることで、「値上がり」をきっかけにチョコとの付き合い方を見直すこともできます。

次にチョコレートを手に取るとき、
「この一枚の裏には、西アフリカの農園と世界の相場があるんだな」と少しでもイメージできたら、味わいもまたひと味違って感じられるかもしれません。

板チョコとココアの写真:チョコレートが高くなった本当の理由

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